かしわ
柏の舟
重々しげに柏の舟が行く
流れにたゆたいながら
ふなあし
その舟足に似て悩み悩みて眠られず
この辛き我が思いよ
憂いを拡うに酒のなく
心を晴らすに晴らせめにはあらず
かの かしわぶねのいく
汎 彼 柏 舟
また そのながれにいく
亦 汎 其 流
こうこうとして いねす
耿 耿 不 寐
つらきうれいの あるごとし
如 有 隱 憂
われに さけなく
微 我 無 酒
もってあそび もってあそぶなきにあらす
以 敖 以 遊
我が心の鏡にあらざれは
すべ
憂いを映して晴らすに術なし
兄弟はさわにあれど
我が憂いを晴らさず
とつとつと我が憂いを語れど
帰り来るは怒りのみ
わがこころ かがみにあらざれば
我 心 匪 鑒
はかるべからず
不 可 以 茹
また けいていあるも
亦 有 兄 弟
よるべからず
不 可 以 據
いささか ここにゆきてつげば
薄 言 往 愬
かの いかりにあえり
逢 彼 之 怒
我が心の石にあらざれば
転がりて憂いを晴らせず
むしろ
我が心の筵にあらざれば
卷きて憂いをしまえず
福よかににこやかなれと言うも
かた わざ
そは難き業なり
わがこころ いしにあらざれば
我 心 匪 石
ころがる べからざるなり
不 可 転 也
わがこころ むしろにあらざれば
我 心 匪 席
まく べからざるなり
不 可 卷 也
いぎ ていていたるは
威 儀 棣 棣
かぞ べからざるなり
不 可 選 也
憂いのためにしおしをと
つれなき人々を心で怒り
我が心の病みゆくを感ず
そし
我を謗る者の多ければ
静かに一人思いゆくに
、 、
心ははたと悲しみに打たれ行く
うれいのこころは しょうしょう
憂 心 悄 悄
ぐんしょうに うらまる
慍 于 群 小
うれいの すでにおおきをみ
覯 閔 既 多
あなどりをうくるの すくなかなず
受 侮 不 少
しずかに ここにこれをおもえども
静 言 思 之
めざめ むねうたるかなしさよ
寤 辟 有 摽
ああ日よ月よ
は
何すれぞ互いに身を食みゆくや
我が心の憂いゆく
、 、 、
洗わざる污れ衣着たるごと
人のつれなきを思えば
我が心の深く沈みゆく
ひや つきや
日 居 月 諸
なんすれぞ たがいにかくるるや
胡 迭 而 微
こころは これうれえり
心 之 憂 矣
ころもを あらうにあらざるごとく
如 匪 擀 衣
しずかに ここにこれをおもえば
静 言 思 之
ふるいとぶ あたわず
不 能 奮 飛
- May 29 Fri 2009 00:20
柏舟
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