くじか
野に死せし麕有り

くじが しがい

野に麕の死骸がある
  ちがや おお
白い茅で覆って贈り物にしましょう
                                            み  こ
恋しちゃならめ巫女の私も年頃
                                                     かみびと
恋しちゃならめ私が、恋しちゃならめ神人を誘う

のに ししたるきんのあり
野   有   死   麕
しろき ちがやもて これをつつまん
白 茅 包 之
むすめあり  はるをおもう
有 女 懷 春
よきおのこ  これをいざなわん
吉 士 誘 之



林の中の小さな木々の茂み


野に鹿の死骸がある

白い茅で丹念に覆って贈り物にしましょう

玉のような巫女の私ですよ

はやしに  ぼくそくのあり
林   有   樸   樕
のに ししたる  しかのあれば
野   有   死   鹿
しろき ちかやもて じゅんそくす
白   茅   純   束
むすめあり たまのごとし
有   女   如   玉



静々と拔き足差し足忍び足よ

私の衣をガサガサ音立てさせないで

番犬のムクにも吠えられないでね

じょして  たいたたり
舒   而   脫   脫   兮
わがぜいを かんずるなからしめ
無   感   我   帨   兮

いめを ほゆらしむることなかれ
無   使   尨   也   吠

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